レポート:FC町田ゼルビアユース佐藤陸選手・前田陸斗選手 セルビアから帰国 留学体験インタビューを掲載します!
日頃よりFC町田ゼルビアをご支援いただきまして誠にありがとうございます。
FKヴォイヴォディナ・ノヴィサド(セルビア)に約3週間の短期留学をしていた佐藤陸選手・前田陸斗選手が帰国しました。帰町から数日が経過した29日(火)、欧州のサッカーを体験してきた2人に話を聞きました。短い時間ではありましたが、多くのことを感じ、学んだようです。2選手のインタビューを御覧ください。
–改めてお疲れ様でした。約3週間のセルビア留学でしたが、感想をお願い致します。
○佐藤選手
「セルビアに着いた最初の頃は、やっぱり言語とか環境とか色々と慣れない部分が多く、難しかったです。少しずつですが、選手とコミュニケーションをとることができて、最後は楽しかったなと思って帰国することができました」
○前田選手
「ボールとかグラウンドとか全部が日本と違って、全体的に雑というか、グラウンドはボコボコですし、ボールは空気が入っていなかったり・・・。それでもセルビアの選手は日本の選手と違って、集中力とかサッカーに対する情熱が凄くて、最初の3日間ぐらいは、それに慣れることができなかったです。その後は負けてられないなという気持ちが出て、負けないくらい熱を持って練習にも取り組むことができました。そうするとプレーで認めてくれるようになって、名前も覚えてもらって、私生活でも仲良くさせてもらいました。海外に行くとサッカーで認められなきゃいけない、それが全てだなと感じました」
–2選手はそれぞれ持ち味を持っていますが、このプレーはセルビアでも通用したと感じたものがあれば教えてください。
○佐藤選手
「自分は技術の面が長所だと思っていましたが、セルビアの選手もボールを止める・蹴るというのは、事前に聞いていたように技術が高くて、日本の選手とあまり変わらなかったです。なので、自分の長所だと思っていた部分があまり通用しないという印象を受けました。でも、ボールを出した後の動き出しとかは、あっちの選手にないものだったので、そういう部分では自分の長所を出せたかなと思います」
○前田選手
「やっぱり技術が高かったのですが、自分はスピードが長所なので、スピードに乗ったドリブルは1回も止められなかったので、スピードを活かしたドリブルと。そこからの展開、ラストパスだったりシュートだったり、そういう部分は海外でも通用すると自信になりました」
–ここは通用しなかった、今後の課題になったと感じた部分があれば教えてください。
○佐藤選手
「全体的に体が大きくて、当たり負けだったり、フィジカルで差があるなと感じました」
○前田選手
「体が強いし大きいし、自分より足が速かったりと、フィジカル面で通用しなかった部分がありました。あとは、あっちの選手は筋力があるのでシュートとかパスを出せる範囲が広いです。そこの差を感じました。でも、自分はそれを蹴る方向とかカバーする技術があったので、日本に帰ってきて、そういう技術はもっと伸ばしていきたいなと思っています」
–海外の選手と日本の選手を比べたとき、メンタル面の違いを指摘されることがありますが、その辺りで感じたことがあれば教えてください。
○佐藤選手
「サッカーに対する姿勢だったり、そういう部分は練習から日本の選手よりはモチベーションが高いと感じました。目標がしっかりしていて、プロになりたいという気持ちがこっちより強いと感じました。練習に対する姿勢、練習中の声のかけ方とか、日本とは違うなと感じました」
○前田選手
「セルビアの選手は練習から要求し合っていて、毎日ケンカになるんです。ただ、そのケンカで日本と違うのは、ものすごく言い合って殴り合いになるときもあるのですが、それがネチネチ続かない。練習が終わったら一緒に帰るくらい、グラウンドの中でだけでケンカをする。それが本当に仲間なんだなって思いました。セルビアの選手はプロにならないと儲からないというか、裕福な生活が送れないそうなので、サッカーで食っていくしかない、という強いモチベーションを持っています。自分がプロになって両親を食わせるんだ、という気持ちを練習中から常に感じました」
–コミュニケーションはどうでしたか?
○佐藤選手
「コーチが英語を全くしゃべれずセルビア語しか話せない人だったので、練習メニューとか、わからないときは選手に英語で簡単に教えてもらい、そういうところでコミュニケーションを取っていました」
○前田選手
「自分自身そんなに英語を喋れなかったですし、自分たちの年代もそんなにペラペラと喋れる選手がいなくて、逆にそれによってお互いに単語しか知らない状態だったので、英単語を言い合って、あとは身振り手振りでコミュニケーションを取りました。お互いに同じような英語力だったので、逆にそれで通じ合うことができました」
–前田選手は練習だけでなく、試合にも出場したと聞いています。感想をお願いします。
○前田選手
「15分ほどでしたが、出してもらうことができました。試合で一番感じたのは、さっきも言ったのですが、自分の長所であるスピード、ドリブルというのは通用するなと思いました。あっちの選手は後半の最後になると足が全然動かなくなって、サボり気味になります。なので、スペースもいろいろ見つけられて、少ない時間ではありましたが、その試合で一番おしい場面を自分が作り出せたかなと。そこの部分は自信になりました」
–話を聞くと、技術面では大きな差はないが、メンタル面・フィジカル面で大きな差があったという印象です。3週間経験して、その面で成長できた実感はありますか?
○佐藤選手
「フィジカルというよりは、手の使い方があっちの選手は上手くて、そこをちょっと真似しようと思って、最後の1週間は意識して取り組みました。町田に帰ってきてからも意識してやれています。あっちの良いところを吸収できているかなと思います」
○前田選手
「最初の方はフィジカルに慣れなくて苦しかったのですが、途中から勝てないんだったら真っ向勝負をしなくてもいいかなと思い、違うことを考えるようになりました。ボールをもらう場所を工夫したり、わざとあたりに行かなかったり、避ける技術というか、そこを意識するようになりました。相手がこっちの選手より強かったからこそ、普段考えないようなボールをもらう場所だったり、どうやったら相手に触れられないのかを考えたり、ここでスピードを上げたほうが良いのかなとか、練習中から常に考えることができました。それは日本に帰ってきてからも意識してやりたいと思っています」
–セルビアの食事を摂ったり、トップチープのパルチザン戦を観に行ったりと異文化に触れる機会があったと思いますが、いかがでしたか?
○佐藤選手
「食事の部分は肉中心の食事で、朝ごはんはセルビアの選手はそんなに食べないことに驚きました。パンとかシリアルばかりでした。思っていたより量が多くないというか、体が大きい割にそんなに量を食べないんだなとびっくりしました。パルチザンとの試合は、球際だったり迫力だったり、プレーする選手もですし、会場の雰囲気も日本にはないものだったなと思いました」
○前田選手
「パルチザンとの試合は、サポーターの数とか迫力が異常で、女性とか子供が全然いなくて、男の人がとにかく多くて、すごい迫力でした。警察の警備体制もすごくて、サポーターの前にズラッと並んでいて、サポーター同士の戦いも日本でやったら絶対に大騒ぎになるだろうなというケンカが起きたり、選手だけでなく、サポーターも含めてサッカーに対する情熱が違うのかなと思いました。あっちには娯楽がそんなにないので、サッカーが数少ない楽しみだそうです」
–今後この経験を活かしてもらいたいと思いますが、留学を経て改めて、今後の目標だったり意気込みを聞かせてください。
○佐藤選手
「なかなか経験できないことをセルビアに行って経験させてもらったので、あっちでは良いことも悪いこともありましたけど、良い部分はしっかり吸収してチームに還元したいと思います。自分の中でできなかったこともあったので、こっちでも変わらずにその課題を克服できるようにやって、いつかサッカーで上に行って、またああいう選手たちと戦ったり、一緒にプレーしたりできたらと思います」
○前田選手
「普通だったらできない経験をさせてもらったクラブに感謝の気持ちを忘れずにやりたいです。その感謝の気持ちは、やっぱりプレーでしか示せないと思うので、自分がこの経験をさせてもらったということを忘れず、結果でお返しをしていきたいです。セルビアへ行って感じたのは気持ちの面です。もっと自分がやる、他の人には頼らずに自分自身がゴールを決める、結果を残す、という気持ちが弱いと感じたので、こっちに帰ってきて、自分が試合を決めるんだ!っていう絶対的な強い気持ちでプレーすること忘れないようにしていきたいと思います」
以上
改めまして、今回のセルビア短期留学にご協力くださいましたFKヴォイヴォディナ・ノヴィサドの皆様、JFA/Jリーグ協働プログラムの関係者の皆様、本当にありがとうございました。
育成の街・町田、町田から世界へ—を目指して今後も活動して参りますので、引き続きのご支援をよろしくお願い申し上げます。