【酒井コーチのセルビア便り】セルビアチャンピオン!

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Dobar dan.
Kako ste?

今、ポーランドの首都ワルシャワかからヴィドゴシュチュという田舎町に向かう列車の中にいる。U-21(年齢では23歳以下)の欧州選手権を観るために、6日間ほどかけてポーランド国内を数か所周る予定だ。

美しい木々や青々とした草原を眺めながら、パソコンを叩いている。まさに、世界の車窓から、いや酒井の車窓からだね。(こういうギャグを言えないのが一番のストレスだ。笑)

いきなりだが、先日、僕が担当するヴォイヴォディナU-15がセルビアチャンピオンになった。日本一にもなったことがない僕が、セルビアに来て4か月でチャンピオンを経験できるなんて幸せだ。

                                     写真:FK Vojvodina

今回は、セルビアナンバーワンの余韻に浸りながら、振り返ってみたいと思う。

セルビアは大きく分けて2つの地域に分かれている。中南部に位置するセルビア本国と、北部に位置するヴォイヴォディナ自治州だ。(コソボについてはここでは触れないでおく)

1年間通して開催されるヴォイヴォディナ自治州リーグは圧倒的な力で制した。毎試合5点差以上で勝利していた。そして、U-15の年代からセルビア本国とヴォイヴォディナ自治州を勝ち抜いた4チームでノックアウト方式のチャンピオンシップが開催される。

セルビア本国に位置する首都のベオグラードは、強豪クラブがひしめいている。特に今シーズン、トップチームもリーグ優勝を果たした“パルチザンベオグラード”はアカデミーとしても、セルビアナンバーワンと言われている。このクラブの特徴は、アカデミー年代からの熾烈な生き残り競争だ。新しく入ってきた13歳の選手が半年で放出されることもよくあるそうだ。

一方、ヴォイヴォディナは地方都市で人口も多くないため、9歳からじっくりと育成していく。この年代のヴォイヴォディナとパルチザンは年代別セルビア代表に6名ずつ送り込み、“セルビア2強”と言われている。そして、この両チームがついにチャンピオンシップの準決勝で激突することになった。

1週間前に、監督のパンテリッチと2人でベオグラードにパルチザンの試合を偵察に行った。ちなみにパンテリッチは元ユーゴスラビア代表の選手で、国内では有名人だ。翌日、2人でパルチザンを分析しメンバーや戦い方を練習で試した。

勝利のプランは見えた。

前日に会場のベオグラードで1泊し、入念な準備をして当日を迎えた。緊張感で一杯の僕とは違い、選手たちはロッカーで大音量の音楽をかけて歌っている。

試合開始直後から、ヴォイヴォディナがパルチザンを圧倒した。激しいプレスからボールを奪い、アイデア溢れるパスワークで前半で2-0。ほぼパルチザンには何もさせず、後半にも一点追加して3-0の勝利だ。

決勝戦も危なげなく4-0で勝ち、見事優勝を勝ち取った。

何より驚いたのが、この大舞台での彼らの伸び伸びとしたプレーだった。

監督のパンテリッチは、恐ろしいほどアグレッシブな監督だ。日本でいう鬼軍曹だ。日本の子どもはおそらく耐えられないだろう。保護者のクレームで先に監督が辞めさせられてしまうかもしれない。僕も普通に怒鳴りつけられる。練習後、選手たちが『気にするな』と僕の肩を叩いてくれる(笑)。子ども達からすると、練習からあれだけタフにやっていると、この試合くらいの緊張感は楽なものなのかもしれない。

鬼軍曹だけれども、僕は彼をとても尊敬している。常に子どもたちの事を考え、この大会中もスーパーに行ってビタミン剤をやドリンクを買い込み、オリジナルドリンクを作ったりしている。厳しく接するのは、彼らには才能があり、近い将来もっと圧力の掛かるビッククラブに移籍する可能性が高いからだ。

2014年にヴォイヴォディナのトップチームはカップ戦で優勝している。その時、11名中9名がアカデミー出身だったという。その年、3名がイングランド、スペイン、ベルギーのビックラブに移籍している。

今回のU-21欧州選手権の視察は、その選手達を観るために来た。

僕の担当する2002年生まれは、それ以上の素材と言われている。数年後、僕が関わった選手達を観に、また列車に揺られ、酒井の車窓からができたら幸せだ。

PS.視察が終わったら日本に一時帰国します。

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